帰ってきた、セキセイインコのぴーちゃん
迷子になるセキセイインコは多数います。この悲しい現実を伝えたくてフィクション的な物語でお送りします。
体験談を元にしたものですが、登場人物などは全てフィクションです。
◆登場人物
佐伯 優花(さえき ゆうか):28歳、花屋勤務。一人暮らし。
ぴーちゃん:優花が飼っていた青と白のセキセイインコ。おしゃべりが得意。
上原 慶太(うえはら けいた):33歳、動物病院の看護師。穏やかな性格。
山崎 文子(やまざき ふみこ):70代、近所に住むおばあさん。鳥好き。
第一章:その朝、窓が少し開いていた
花屋で働く優花は、3年前から一羽のセキセイインコと暮らしていた。名前は「ぴーちゃん」。
青と白の羽を持ち、よくしゃべる子だった。
「ゆーか、だいすきー!」
「おはよう、ぴーちゃんです!」
その声に、毎朝元気をもらっていた。
ある春の日の朝、いつものように優花がぴーちゃんに声をかけようとしたとき――
ケージが開いていた。窓も、ほんの少し。
胸が凍った。
「うそ……開いてたの? え、ぴーちゃん?!」
部屋を探しても、どこにもいない。
ベランダに出ると、隣のマンションの屋根に、見覚えのある青い羽が見えた。
「ぴーちゃん!!」
でも、彼女の呼びかけに、ぴーちゃんは一瞬だけ振り向き、
そのまま空へと飛び去ってしまった――。
第二章:届かない声、空へ
優花はすぐにビラを作った。
「青と白のセキセイインコを探しています」
「名前は“ぴーちゃん”です。おしゃべりします」
「人懐っこくて、誰にでも近づきます」
駅前、スーパー、動物病院。近所中に貼り紙をして、SNSにも投稿した。
けれど、何日経っても反応はなかった。
「ゆーか、さみしいよー」
そんなぴーちゃんの声が、耳にこびりついて離れなかった。
第三章:ある動物病院に届いた小さな命
それから10日後、近所の動物病院に一羽の迷子インコが届けられた。
発見者は、近くに住む文子おばあさん。
庭で洗濯物を干していたら、肩にふわりと止まってきたのだという。
「ぴーちゃんって言ってね、私に“ごはんー!”って言うんですよ。不思議でしょ」
その話を聞いた看護師の慶太は、ふと数日前に見た迷子の貼り紙を思い出した。
「もしかして……あのインコじゃ?」
病院に連れてこられたそのインコは、栄養状態こそ少し落ちていたが、大きなケガはなかった。
名前を呼ぶと、こう言った。
「ゆーか、だいすきー!」
第四章:再会、そして涙
病院から連絡を受けた優花は、飛ぶようにして駆けつけた。
受付で名前を告げると、奥からぴーちゃんが運ばれてきた。
その瞬間、ぴーちゃんは羽をバサバサと震わせて、優花の肩へ。
「ゆーか、ぴーちゃん、おかえりー!」
その言葉に、優花の涙が一気にあふれた。
「帰ってきた……本当に帰ってきた……!」
慶太はその様子を、優しいまなざしで見守っていた。
第五章:新しい縁、新しい日常
後日、ぴーちゃんの「帰還報告」をしに、優花は花束を持って文子おばあさんを訪ねた。
文子は笑いながら言った。
「あの子ね、本当に賢い子だったのよ。うちの仏壇にも“ぴーちゃんです”ってご挨拶してたくらい」
それから数週間後。
優花と慶太は、ぴーちゃんをきっかけに時々連絡を取るようになり、
やがて一緒にバードカフェに行くまでの仲になっていた。
ぴーちゃんは今日も言う。
「けーた、すきー!」
「ゆーか、だいすきー!」
たぶんこの小さな鳥は、知っていたのかもしれない。
自分が誰に守られているか、自分が誰を繋げたのか。
エピローグ:空を飛んだ日も、大切な軌跡
ぴーちゃんがいなくなった10日間は、優花にとっては不安と後悔の時間だった。
けれど、それは決して“無駄な時間”ではなかった。
一羽の迷子のセキセイインコが運んできたのは、
再会の喜びと、人と人との新しい縁だった。
小さな羽音が、今日も部屋に響く。
「ぴーちゃん、おかえり」
そして、「ありがとう」。
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